台湾最新ニュース２０２５年１１月２１日 |
1．台湾、「AI島」戦略に NT$1000億以上投入して世界トップ5を目指す
台湾政府はAI国家戦略の一環として「AI島（AI Island）」構想を発表し、今後数年で NT$1,000億（約32億米ドル） を投資すると明らかにしました。重点分野はシリコンフォトニクス、量子コンピューティング、AIロボティクスなど次世代ハードウエア。2028年にNT$7兆、2040年にはNT$15兆の付加価値創出を目指しており、これは1970年代の十大建設を彷彿とさせる国家規模の産業構造転換です。ただし、この野心的な計画には 電力インフラの制約 が大きなリスクとして横たわっています。特に再生可能エネルギーの普及ペースや南部送電網の整備が追いつかなければ、AIデータセンターやハイパフォーマンス演算施設の電力供給がボトルネックになる可能性があります。台湾はこの戦略で技術大国としての地位を強化しつつ、エネルギー安定の重要性を同時に認識しており、投資家・企業にとっては将来性とリスクが併存する注目のテーマです。
情報ソース： Tom’s Hardware 「Taiwan to spend $3 billion turning nation into 'AI island'」 → https://www.tomshardware.com/tech-industry/semiconductors/taiwan-announces-3bn-spend-on-ai-island-ambitions?utm_source=chatgpt.com
2．台湾、量子コンピュータなどデュアルユース技術の輸出規制を強化
台湾経済部の国際貿易局は、軍事・民間両用（デュアルユース）技術について、量子コンピュータや先進半導体装置を含む 18品目 を輸出管理リストに追加する規制強化案を提示しました。現在60日間のパブリックレビュー中で、最終ルール成立後は、これら技術を海外に輸出する際に事前許可が必要になります。この措置は武器拡散防止だけでなく、国家安全保障の観点からも重要とみなされており、台湾ハイテク企業にとっては輸出戦略の見直しが不可避です。特に中国市場やサプライチェーンをめぐる地政学リスクが高まる中、日本企業や投資家も台湾発デュアルユース技術の扱い方に注意が必要となります。
情報ソース： Reuters「Taiwan to further tighten export controls for dual‑use technology」 → https://www.reuters.com/world/asia-pacific/taiwan-further-tighten-export-controls-dual-use-technology-2025-11-18/?utm_source=chatgpt.com
3．AI需要で台湾経済加速、中経院が2025年成長率を5.45％に上方修正
台湾の中華経済研究院（中経院）は、2025年の国内総生産（GDP）成長率見通しを 5.45％ に大幅上方修正しました。これは7月の予測（約3.05％）から2.4ポイントの跳ね上げで、AIによる半導体・データセンターの急成長が鍵となっています。院長の連賢明氏は「AIが想定を超える成長ドライバーとなっている」と強調。特に米国や欧州向けのAIサーバー関連製品の輸出が好調で、民間投資もAIを中心に活況を呈しています。一方で、学者からは「AIバブルや過度な輸出依存によるトレードリスク」の懸念も指摘されており、成長の持続性を巡る議論も活発化しています。
情報ソース： FTNN「AI需求爆發撐出口！中經院上修台灣GDP至5.45％」 → https://www.ftnn.com.tw/news/492318
4．10月の台湾輸出が前年比＋49.7％、AI・HPC需要がドライブに
台湾の産業データ分析会社「優分析」によると、2025年10月の輸出額は前年比 ＋49.7％ に達し、16年ぶりの大幅伸びを記録しました。背景にはAI用途の高性能演算（HPC）チップやサーバーの国際需要急増があります。特に米国向け輸出が144.3％増加しており、台湾製ハイエンド半導体が世界のAIインフラを支える一翼を担っていることが浮き彫りになっています。この急激な輸出伸長は台湾経済のAI依存を明確にし、同時に供給網の地政学的リスクも改めて注目されるポイントとなっています。
情報ソース： 優分析「台灣10月出口年增49.7%，創16年新高」 → https://uanalyze.com.tw/articles/8076838095?utm_source=chatgpt.com
5．AIブームで成長率がほぼ6％に、だが専門家は貿易リスクを懸念
AI商機の急拡大により、台湾の経済成長率が 5～6％ に達する可能性が高まっています。台経院が5.94％に予測を修正したのに加え、主計総処の主計長も「成長率は少なくとも5.5％以上、6％近辺も見込める」との見方を示しています（Hakka News）。一方、学者らは、AI輸出に依存しすぎることで 輸出市場の集中リスク や 貿易政策の急変 に対する脆弱性が高まるとの警戒も強めています。特に米国向けAI製品の輸出が加速する中、米中関係や関税政策が台湾の成長持続性に影を落とす可能性があります。台湾は技術成長と安全保障リスクのバランスをどう取るかが難しい局面にあります。
情報ソース： 商周（Business Weekly）「AI撐起台灣經濟成長率！亮眼數據背後，學者憂引爆「新貿易風險」」 → https://www.businessweekly.com.tw/business/blog/3019924
6．台湾有事リスクと技術サプライチェーン、安全保障と輸出管理の緊張高まる
台湾がデュアルユース技術（量子コンピュータ、高度半導体装置など）に対する輸出規制を強化すると発表した背景には、技術流出を警戒する安全保障上の懸念があります。これらの技術は民生用途のみならず、軍事利用の可能性があり、有事の際には台湾の戦略的資産となり得ます。今回の規制強化は、台湾が技術大国としての地位を保ちつつ、地政学的リスクに備える構図を示しています。また、輸出許可の厳格化は企業側にとってコストと手続きを伴う負荷増となり得ますが、技術の国家的価値を考えると不可避の選択とも見られています。
情報ソース： Reuters「Taiwan to further tighten export controls for dual‑use technology」 → https://www.reuters.com/world/asia-pacific/taiwan-further-tighten-export-controls-dual-use-technology-2025-11-18/?utm_source=chatgpt.com