本日の7本記事(配信:2025年11月20日) |
① 「台湾、全世帯に防衛ハンドブックを郵送開始 — 中国リスクを市民に警戒喚起」
台湾は、全国約980万世帯に新版の市民防衛ハンドブックを郵送。中国からの圧力を強く意識した備えが改めて示されました。
台湾政府は今週、「全民国防ハンドブック(市民防衛手引き)」の新版を全国のおよそ980万世帯に郵送を開始しました。今回配布される手引きには、自然災害だけでなく軍事リスクを想定したガイダンスが含まれており、特に敵と見なされる兵士を見かけた際の行動指針が初めて明確に示されています。さらに、爆撃シェルターの探し方、非常持ち出し袋の準備、家族での避難計画の立て方など、市民が自ら備えるための実践的なアドバイスが記載されています。偽情報への対策として、台湾が降伏したという主張は「虚偽」と断言され、それらを見抜く力を持つことの重要性が説かれています。副秘書長の林飛帆氏はこの冊子を「我々の防衛の決意を示す象徴」と評し、国全体のレジリエンス(強靱性)を高める目的を明確にしています。
出典: Reuters Reuters+2The Straits Times+2
② 「新版市民ガイドに戦時想定シナリオを盛り込む — 偽情報と脅威の両面対策」
最新ハンドブックには、戦争・侵攻時だけでなく情報戦への備えも詳細に。偽情報や心理戦への警戒を強化。
台湾の新版「全民国防ハンドブック」は、戦時シナリオだけでなく、サイバー攻撃や情報操作といったハイブリッドリスクにも対応した内容を含んでいます。特に、偽情報やプロパガンダに対して、政府が「台湾は降伏していない」とのメッセージを明示し、市民が虚偽の報道やSNS情報を見抜くための指針を提供。さらに、敵兵とみられる人物に遭遇した際の行動ガイドや、安全な避難ルートの確認方法など具体的なステップがまとめられています。このガイドは、台湾の防衛政策が「民間参加型」の総合的なものへと進化していることを物語っており、国民一人ひとりが日常の中でリスクを認識し、自らの安全を守る意思を持つことが重視されています。
出典: The Straits Times The Straits Times
③ 「敵兵への対処方針が変わる — 台湾市民は“識別せず退避”が新原則」
台湾の新ガイドでは、敵か味方かを識別しようとせず、まず逃げることを基本行動と位置付けています。
最新版の市民防衛手引きでは、これまでの「敵味方を見分けようとする訓練」は削除され、代わりに「敵らしき人物を見たら即座に退避する」が基本方針となりました。偽装や心理作戦を想定し、一歩間違えば重大なリスクを伴う誤判断を避ける狙いがあります。さらに、市民に対して軍事活動を撮影・投稿しないよう強く指示しており、目撃情報を拡散することでの二次的リスクへの配慮がなされています。この変化は、市民が単なる“目撃者”から“防衛戦略の一部”へと役割を変える台湾の新たな安全保障観を示しています。
出典: Business Insider Business Insider
④ 「ハイブリッド戦リスクを日常に — サイバー攻撃や海底破壊にも対応」
台湾は侵攻リスクだけでなく、サイバー攻撃や通信インフラの破壊などの複合リスクに備えたガイドを市民に提示。
台湾の新版防衛手引きは、軍事的侵攻だけでなく、海底ケーブル破壊、サイバー攻撃、無人機偵察、情報操作といったハイブリッド戦リスクを包括的に扱っています。これら複数の脅威が同時並行で発生する可能性を踏まえ、市民に対して具体的な行動指針を示す内容が盛り込まれています。国安会副秘書長は、「侵攻の日(D-Day)と、日常的な圧力(Everyday coercion)の両方を想定して備えるべきだ」と強調。台湾は平時から国民全体を巻き込む安全保障戦略を構築しつつあり、その文書は単なる防災マニュアルを超え、国家レジリエンスを支える重要な柱になっています。
出典: Reuters Investing.com
⑤ 「中国製アプリの危険性、台湾国家安全局が警告 — 個人情報と生体データ収集」
TikTokやWeChatなどの中国製アプリに対し、台湾当局が重大なセキュリティリスクを指摘。プライバシー保護の観点から警戒が高まっています。
台湾国家安全局(NSB)は2025年7月、中国製モバイルアプリ(TikTok、WeChat、Rednote、Weibo、Baidu Cloud)に関する抜き打ち検査を実施し、全ての対象アプリで重大な違反があると発表しました。具体的には、個人情報収集、過剰な権限使用、位置情報アクセス、生体認証データへのアクセスといった項目で問題が確認されました。特に顔認証データや連絡先、クリップボード、位置情報などが不正に取得される可能性が指摘されており、これらの行為が国家安全保障リスクにつながるとの懸念が強まっています。NSBは台湾国民に対し、特定アプリの使用には注意するよう強く呼びかけています。
出典: マイナビ TECH+ マイナビニュース
⑥ 「中国軍、2035年までの台湾封鎖能力完成を警戒 — 国防部報告書」
台湾国防部は、中国が2035年までに台湾を封鎖・接近阻止(A2/AD)可能な能力を強化する計画を報告書で示しました。
台湾国防部による2025年の報告書では、中国人民解放軍が2035年までに台湾海峡への封鎖能力を実質的に完成させることを目指していると分析されています。報告書は、接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略、海警常駐、封鎖演習などを通じて台湾を圧迫し、戦略的な優位を確立しようとする動きを指摘。これにより、台湾海峡が中国にとって「戦略的レバー」となりうるとの警戒が強まっています。台湾側は、この報告を踏まえ、長期的な封鎖・圧迫に耐えうる戦略構築を急務としています。
出典: ワイズコンサルティング ys-consulting.com.tw
⑦ 「台湾、民間防衛意識を強化 —英語版ガイドも提供、国際的備えも視野に」
台湾政府は新版防衛ガイドを英語版でも提供。多言語展開により在外住民や外国人市民への備えも重視しています。
台湾が配布を開始した最新版「全民国防ハンドブック」は中国語版に加え、英語版を含む多言語版でも提供される予定です。これにより、在台外国人や海外から台湾と関わる人々へのリーチを強化し、市民全体の防衛意識をグローバルに底上げする狙いがあります。政府は冊子の配布後、非常時持ち出し袋の準備や避難場所の確認などを促す啓発キャンペーンを展開予定です。また、外国語版を通じた普及は国際的な支援や協力の呼びかけにもつながるとの観点から、台湾の防衛戦略における重要な要素と位置付けられています。
出典: Reuters Reuters+1
