本日の7本記事配信:2025年11月22日

  

① 「海底ケーブルが新たな戦場に —台湾、グレーゾーン戦術に備え特別監視区域を設定」

台湾は海底通信ケーブル近辺の海域を「特別監視区域」に指定。中国系船舶による潜在的な妨害活動を警戒しています。

台湾国防省は、海底通信ケーブルが敷設されている海域を「特別監視区域」に指定し、戦略的インフラへの干渉リスクに備えた監視体制を強化しています。これは中国による“グレーゾーン戦術(明確な戦争行動ではない圧力行為)”を想定した措置とされ、国家安全保障上の優先課題になっています。 taipeitimes.com+2taipeitimes.com+2
具体的には、Shunxing-39など旧疑惑船舶がケーブル区域付近を航行していた過去が取り沙汰されており、これがモニタリング強化の一因となっています。 theguardian.com+1
台湾海巡署(CGA)と海軍は共同で通信、レーダー、偵察能力を動員し、疑わしい船舶の追跡や警告を行う体制を敷いています。 understandingwar.org+1
この動きは、台湾がインターネットや通信の「命綱」を守ると同時に、ハイブリッド戦の一環として重要海域を死守する意思を鮮明に示すものであり、日本をはじめとする地域の通信安全保障にも波及するリスクを含んでいます。

 


② 「中国籍船が海底ケーブルを切断か —台湾、香港系企業との関与を調査」

Togolese旗・中国人クルーの貨物船がペンフー島近くの通信ケーブル破損と関係。台湾は国家安全保障案件として扱っています。

台湾海巡署は、Togo(トーゴ)旗を掲げながら中国人クルーを乗せた貨物船「Hong Tai」が、ペンフー島への海底ケーブル近辺に錨を下ろしていたことを確認し、ケーブル切断との関連を調査中です。 dw.com+1
この船の動きについて、海巡署は国家安全上の懸念を示しており、単なる事故ではなく「グレーゾーンでの妨害行為」の可能性も排除していません。 dw.com
損傷したケーブルは、通信サービスを提供する Chunghwa Telecom がバックアップ回線を通じて代替ルートを確保しており、大規模な通信障害には至りませんでした。 theguardian.com+1
一方、船主側は関与を否定しており、調査は継続中。国防部や海巡署は今後、類似の疑わしい動きをする便宜旗船への警戒を強める構えです。これは単なる海難事故を超えた、戦略インフラへの脅威という見方を強めうる事例です。

 


③ 「中国影の艦隊52隻を台湾がブラックリスト化 —便宜旗船を戦略的監視へ」

台湾は中国資本が所有する便宜旗船52隻を「影の艦隊」とみなし、戦略的なブラックリストに登録。通信インフラ妨害を防ぐ狙いです。

台湾当局は、中国資本が実質所有すると見られる便宜旗(フラグ・オブ・コンビニエンス)船52隻を「影の艦隊」と位置づけ、リスク船としてブラックリストに登録しました。 The Asia Live
これらの船舶はカメルーン、トーゴ、モンゴルなどの他国に登録されており、AIS(自動識別システム)の信号を切って航行する事例も報告されています。 The Asia Live
海巡署はこれら船を疑わしい挙動の重点対象とし、24時間監視や海上での取り締まりを強化。必要に応じて登船検査も辞さない構えです。 The Asia Live
こうした監視は、海底ケーブルなど重要戦略インフラの安全保障を確保するだけでなく、台湾が中国からの隠れた圧力(グレーゾーン戦術)に対して国家としての防衛意思を示すものとなっています。日本なども注視すべき海上リスクの顕在化です。

 


④ 「台湾が法律強化へ —海底ケーブル破損で船舶懲罰も刑事罰導入」

台湾政府は海底ケーブル損傷事件を受けて、船舶への罰則強化法案を可決。国家インフラ防衛を制度面から強化します。

台湾内閣は2025年9月、海底ケーブルおよびパイプラインを損傷させた船舶への法的制裁を強化する改正案を承認しました。 Focus Taiwan - CNA English News
具体的には、故意によるケーブル損傷には 1~7年の懲役 と最大 NT$1,000万(約33万米ドル) の罰金が科される可能性があります。過失の場合でも最大6か月の懲役または罰金が想定されます。 Focus Taiwan - CNA English News
また、本法改正では、関与が疑われる船舶の AIS(自動識別システム)の常時稼働を義務付け、不審船舶による匿名航行を抑止することも狙いです。ツールや設備を実際に使用した船は押収対象となり得ます。 Focus Taiwan - CNA English News
この制度強化は、台湾が戦略的インフラ(通信・エネルギー系)へのリスクを法制度面から封じる狙いを持ち、グレーゾーン戦術に対する防衛力を制度的に補強する重要な一歩です。

 


⑤ 「台湾海軍が海底ケーブル防衛へ —共助と情報共有で傍受リスクに対応」

台湾は海軍と海巡署を連携させ、ケーブル近くの海域での警戒態勢を強化。外国艦隊との協力も視野に入れています。

台湾国防省は海巡署(CGA)と共同で、海底通信ケーブルを保護するための連携体制を強化。潜在的な妨害や接近行為に対抗するために新たな海域監視プロトコルを設けています。 understandingwar.org
4つの「重点監視ゾーン」が設定されており、これらは宜蘭、澎湖、屏東、新北市の海域を含みます。これらの海域では、海軍の艦艇が必要に応じて支援を行い、疑わしい船舶への対応が可能です。 understandingwar.org
また、台湾は諸外国(特に通信大国や民主国家)との情報共有を進め、ケーブル防衛の国際協力を模索しています。これにより、攻撃や妨害の早期発見と抑止を図り、通信遮断リスクの低減を目指しています。
この取り組みは、台湾が戦略インフラとしての通信ケーブルを守る“海上防衛”を国家安全保障における重要政策として位置づけていることの明確な表れです。

 


⑥ 「認知戦の最前線:偽情報とプロパガンダを通じた心理戦が台湾の安定を揺さぶる」

中国は偽情報・宣伝を戦略的に活用し、台湾社会に分断や不安をもたらす「認知戦(コグニティブ戦)」を継続的に展開しています。

昨今、中国は伝統的な軍事力だけでなく、偽情報とプロパガンダを通した「認知戦(認知的戦争)」を強化しており、台湾国内への影響が深刻化しています。これは中国が自由主義国家に対して用いる典型的なハイブリッド手段であり、戦争を起こさずとも圧力をかけることができます。
具体的には、SNSやメディアを通じて、台湾政府への不信感を煽る情報、離反を促すメッセージ、さらには経済不安を煽る誤報などが巧妙に流布されるケースが確認されています。これらの情報は、国内の分断や不安を増幅させ、長期的な政治的不安定性を引き起こす可能性があります。
台湾政府および情報当局は、偽情報への対抗策としてファクトチェック機能の強化、国外メディアや市民への情報リテラシー教育、そして国際的な情報共有体制を強化中です。
このような認知戦は、物理的な侵略と同様に国家存立を揺るがすリスクをはらんでおり、台湾有事を議論する際に見落とせない重要な側面です。

出典:The Diplomat や各種分析記事(認知戦・情報操作)を参照(例えば The Diplomat の台湾関連記事)

 


⑦ 「サイバー戦の日常化:台湾、1日数百万件の中国起点攻撃に対抗」

台湾国家安全局によれば、中国からのサイバー攻撃が日常化。通信・政策・社会インフラへの侵害リスクが高まっています。

台湾国家安全局(NSB)は、2025年に入り中国発とみられるサイバー攻撃が急増しており、1日あたり数百万件規模に達しているとの分析を示しています。これらの攻撃は、通信インフラ、政府系ネットワーク、エネルギーなどの重要領域を標的とし、単なる妨害だけでなく情報収集や操作を目的とした高度な戦略だとみられています。
特に懸念されているのは、“オンライン・トロール軍団”の存在。SNSやフォーラムを使って偽情報をばらまき、社会の分断や不信感を煽る役割を担っているとの報告があります。さらに、AI を使った精巧な偽コンテンツ(ミーム、フェイクニュースなど)の生成・拡散も確認されており、サイバー空間そのものが戦場になっています。
台湾はこれに対抗するため、サイバー防衛能力の強化、国内外の情報共有、一般市民の情報リテラシー教育を進めています。サイバー戦は現在進行形の有事の一部分であり、日本を含む民主主義国家にとっても緊張の源となる重要テーマです。

 出典:Reuters や国家安全局