2025年12月30日、世界を震撼させた中国の実弾演習。習近平政権が隠す「国内崩壊」の序曲と台湾海峡の真実。

2025年12月29日・30日の両日、世界は「平和の均衡」が崩れる瞬間を目の当たりにしました。中国軍が強行した演習「正義使命―2025」の事実関係と、それが示唆する絶望的なまでの内政事情、そして未来への分岐点を掘り下げます。

1. 12月29日・30日：軍事演習の事実と「世界への実害」

今回の演習は、過去の「威嚇」とは一線を画す「実戦封鎖」の様相を呈しました。

演習の事実内容

• 実弾発射の多点展開： 30日、中国ロケット軍は内陸部および沿岸部から、台湾周辺の「実弾射撃指定海域」に向け、短距離弾道ミサイル「東風（DF）」シリーズを含む十数発を発射。一部は台湾の防空識別圏（ADIZ）を横切り、台湾東方の海上へ着弾しました。

• 港湾完全封鎖シミュレーション： 高雄港および基隆港の沖合わずか数十キロ地点に艦艇を配置。これに加え、空母「福建」が宮古海峡を通過し、台湾東部で「外からの支援」を遮断する陣形を敷きました。

世界が被った「迷惑」とインフラの混乱

この2日間で、世界経済の動脈は深刻な不整脈を起こしました。

• 国際航路の麻痺： 台湾海峡および周辺海域を通過する年間約50万隻の商船のうち、約3割がルート変更を余儀なくされました。これにより、東アジア発の貨物船に1日〜3日の遅延が発生し、物流コストが急騰しました。

• 航空便の欠航と迂回： 台北飛行情報区（FIR）を通過する国際線数百便がキャンセルまたは迂回ルートを強いられ、燃料費の増大と乗客の混乱を招きました。

• 「デジタル・リスク」の顕在化： 演習に呼応したサイバー攻撃により、台湾の行政サービスや電力インフラへの負荷が急増。世界中の企業が台湾のデータセンターとの通信遅延を経験し、デジタル・サプライチェーンの脆弱性が露呈しました。

2. 中国国内の惨状：習近平が「外」を叩かなければならなかった理由

習近平国家主席がこれほどの強硬策に出たのは、中国国内が「出口のない袋小路」に陥っているからです。

• 経済の「死に至る病」： 不動産バブルの完全崩壊、地方政府の天文学的な債務、そして若年層の失業率が実質40%を超えているとの推計（北京大学関係者による示唆）があります。中国国民の間には「昨日より今日が悪い」という閉塞感が充満しています。

• 「白色革命」の再燃への恐怖： かつてのゼロコロナ政策への抗議活動のように、国民の不満が共産党へ直接向かうことを習近平政権は病的なまでに恐れています。

• 内部粛清の限界： 軍高官の相次ぐ失踪や交代は、軍内部にも「勝てない戦争」への抵抗があることを物語っています。

共産党の思惑： 今回の演習は、国民に対し「我々には世界を屈服させる力がある」という幻想を見せ、不満をナショナリズムへ昇華させるための「政治的麻薬」です。経済で豊かさを提供できなくなった独裁政権が生き残る道は、「偉大なる復興」というスローガンの下に敵（台湾・米日）を作ることしか残されていないのです。

3. 未来の展望：世界を二分する威圧か、中国の崩壊か

習近平氏の野望は、単なる台湾統一に留まりません。彼は「中華民族の偉大なる復興」の名の下に、1945年以降の国際秩序（西側主導の秩序）を解体し、中国を頂点とする新しい帝国主義を再構築しようとしています。

シナリオA：威圧による「世界の分断」（新冷戦の固定化）

中国が軍事的威圧を続け、経済的デカップリングが完成する世界です。世界は「親中・権威主義ブロック」と「日米欧・民主主義ブロック」に完全に二分されます。習近平氏は国内をハイテク監視社会（デジタル独裁）で完全に制御し、北朝鮮のような「要塞国家」として、長期間にわたり世界に緊張を強いることになります。

シナリオB：中国共産党の「内部崩壊」と新秩序

軍事費の膨張に経済が耐えきれなくなり、ソ連崩壊のような形で体制が瓦解するシナリオです。「デービッドソン・ウィンドウ」の期間に無理な軍事行動を起こした結果、国際的な経済封鎖を受け、国内で食糧暴動や軍の反乱が起きる可能性です。この場合、一時的な大混乱の後に、アジアには「覇権なき共存」という新しい秩序が生まれるかもしれません。

まとめ： 中国は今、後戻りできない橋を渡っています。

今回の演習はその「最後の一線」を確認する作業でした。民主主義諸国に求められているのは、中国が「崩壊」を選択するか「共存」を選択するかを待つのではなく、「侵略という選択肢が自滅を招く」という現実を物理的・経済的につきつける圧倒的な意志なのです。