台湾有事ニュース(2025年12月22日)

  
 

記事1:メトロ爆破予告、台湾全土の主要駅で警備を最高レベルに強化

 見えない敵の攪乱:台湾各地のメトロに爆破予告—警察当局、重要インフラの警備を最高レベルに引き上げ

1.社会不安を狙った「認知戦・工作」への警戒

2025年12月22日、台北、高雄など台湾各地のメトロ(MRT)運営会社に対し、相次いで爆破を予告する脅迫が届きました。警察当局は直ちに特別警戒体制を敷き、主要駅に武装警察や特殊部隊を配備。爆発物の捜索と並行して、発信元の特定を急いでいます。有事の際、正規軍による侵攻に先立ち、潜伏工作員やサイバー攻撃による公共インフラの攪乱、社会パニックの誘発が懸念されており、今回の事件も「台湾有事」の前兆としての非正規戦(ハイブリッド戦)を想定した厳しい対応が取られています。内政部警政署は「市民の安全を人質に取るいかなる脅迫も許さない」と声明を発表しました。

2.「人間のセンサー」による全民防衛の実施

今回の事案を受け、メトロ駅構内では駅員や警備員だけでなく、清掃員や売店スタッフに対しても、不審者・不審物発見のための緊急講習が実施されました。これは、社会全体で異常を察知する「人間のセンサー」機能を強化する「全民防衛(全社会防衛)」の具体的実践です。警察はAI監視カメラの映像解析も駆使し、公共空間における「隙」を突かせない強固な監視網を構築しています。政府は国民に対し、パニックにならず冷静に行動するよう呼びかけるとともに、不確かな情報の拡散を控えるよう求めています。内部の安定を維持することが、外部からの圧力に対する最大の抑止力となるという認識が改めて強調されています。

まとめ: 台湾各地のメトロへの爆破予告を受け、警察当局は警備を最高レベルに引き上げました。工作員による社会混乱を狙った「非正規戦」への警戒が強まる中、政府は「全民防衛」の意識を浸透させ、迅速な捜索と厳重な警備によって社会の安定維持に努めています。

出典: 中央通訊社(CNA) 参考サイトのアドレス: https://japan.focustaiwan.tw/society/202512220001


記事2:経済部、TSMC米国展開に対し「N-2」ルールを再確認

技術の砦を守る:経済部、半導体「N-2」ルールを再確認—TSMC米国進出と核心技術保護の両立

1.「シリコンシールド」の流出防止策

台湾経済部(経済省)は、台湾積体電路製造(TSMC)の米国における製造拠点拡大が加速する中、最先端技術の台湾国内留保を目的とした「N-2」ルールを維持・遵守する方針を改めて強調しました。このルールは、海外で製造する技術は台湾国内で量産されている最先端技術より「少なくとも2世代(Nマイナス2)」遅れたものでなければならないという規定です。経済部は「半導体技術は台湾の国家安全保障そのものであり、核心技術の優位性を国内に留めることが、地政学的な抑止力(シリコンシールド)を維持する鍵となる」と説明。米国側の製造要請に応えつつも、技術的な主導権を渡さないための「防波堤」を再確認しました。

2.地政学的リスク下での戦略的自律

このルールの再確認は、トランプ米政権による「製造業の国内回帰」への圧力が高まる中で、台湾が戦略的自律をどのように維持するかを示す重要なメッセージです。経済部は、TSMCのアリゾナ工場などで2ナノ、あるいは将来的な1.4ナノといった最先端プロセスが導入される際も、台湾本国ではさらに次世代の技術開発が進んでいる状態を法的に保証することを求めています。これにより、台湾は「世界の工場」としてだけでなく、「世界の知能」としての代替不可能な地位を維持し、有事の際にも国際社会が台湾の安全を守らざるを得ない構造を固めています。経済的安全保障が軍事的な抑止力と表裏一体である現実が、この「N-2」ルールに凝縮されています。

まとめ: 経済部は、TSMCの海外展開において国内最先端より2世代遅れた技術のみを許可する「N-2」ルールを再確認しました。これは核心技術の流出を防ぎ、「シリコンシールド」としての戦略的優位性を守るための措置です。台湾は技術の主導権を保持することで、地政学的リスク下での生存と安全を確保する姿勢を鮮明にしています。

出典: 経済日報(Economic Daily News) 参考サイトのアドレス: https://money.udn.com/money/story/5612/7659000


記事3:外交部、自民党幹部と頼総統の会談を「日台の固い絆」と評価

民主主義の連帯:外交部、自民党・萩生田氏らと頼総統の会談を歓迎—中国の抗議を一蹴

1.有事を見据えた高レベルの意思疎通

台湾外交部(外務省)は、自民党の萩生田光一衆議院議員らが訪台し、頼清徳総統と会談したことを「日台の強固な信頼関係を象徴するもの」として高く評価しました。会談では、地域の安定維持、経済安全保障、およびサプライチェーンの強靭化について深い意見交換が行われました。特に、中国軍の活動が常態化する中での日台の「現状維持」に向けた連携は、実務レベルを超えた戦略的な重要性を帯びています。外交部は、民主主義の価値を共有する日本との協力が、台湾有事を抑止するための不可欠な要素であることを改めて強調。中国外務省による「内政干渉」との抗議については、「主権国家間の正常な交流である」として一蹴しました。

2.「共通の脅威」に対する日台の呼応

今回の訪台は、日本国内で高まる台湾有事への懸念と、自衛隊の給与改定前倒しなどの防衛力強化の動きとも呼応しています。外交部は、日本側が「台湾海峡の平和と安定は日本の安全保障に直結する」との認識を繰り返し表明していることに謝意を示しました。外交高官は「台湾と日本は、情報の共有や災害救助などの非軍事分野から、将来的な安全保障の枠組み構築に至るまで、より緊密な連携を必要としている」と述べました。中国側の圧力が強まるほど、日台の「運命共同体」としての意識は高まっており、外交部は今後も、議員外交を軸とした多層的な日台関係の強化を推進する方針を明確にしています。

まとめ: 外交部は自民党幹部の訪台と頼総統との会談を歓迎し、日台の連携が地域の安定に不可欠であることを強調しました。中国の抗議に対し主権国家としての正当性を主張するとともに、「共通の脅威」に対する日台の認識共有を深め、安全保障・経済の両面で協力関係を一段高いレベルへと引き上げる姿勢を鮮明にしました。

出典: 自由時報(Liberty Times) 参考サイトのアドレス: https://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews/4528000


記事4:国防部、中国軍機の「夜間・低空」侵入増加に警鐘

 奇襲への警戒:国防部、中国軍機24機の侵入を確認—夜間および低空での「浸透訓練」が激化

1.活動パターンの巧妙化と実戦性向上

台湾国防部は、過去24時間以内に中国の人民解放軍機延べ24機が台湾周辺で活動したことを確認しました。今回の活動で際立っているのは、夜間から早朝にかけての「低空飛行」による侵入が複数回確認された点です。国防部の分析によると、これは台湾のレーダー網をくぐり抜け、奇襲的に重要インフラを攻撃したり、特殊部隊を送り込んだりするための「浸透訓練」の一環である可能性が高いとされています。中間線越えの常態化に加え、こうした「飛行パターンの質の変化」は、中国軍がより実戦的な侵攻シナリオに沿って訓練を高度化させている現実を浮き彫りにしています。

2.「24時間即応」体制の維持と国民への信頼

国防部は、中国軍の活動に対し、哨戒機、艦艇、および地上配備のミサイルシステムを動員して厳重な監視を継続しています。夜間の低空侵入に対抗するため、台湾軍は赤外線監視装置や最新の防空レーダーの配備を強化しており、いかなる時間帯・高度からの侵入も逃さない「鉄壁の監視網」の維持を強調しました。国防部高官は「敵の戦術変化を常に先読みし、対応マニュアルを更新している」と述べ、軍の即応能力に対する国民の信頼を求めています。軍事専門家は、こうした日常的な緊張が続く中、兵士の疲弊を防ぎつつ、高度な警戒能力を維持するための「無人機とAIを活用した監視の自動化」の重要性が一段と高まっていると指摘しています。

まとめ: 国防部は中国軍機24機の侵入を確認し、特に夜間・低空での浸透訓練が激化していることに警鐘を鳴らしました。実戦性を高める中国軍の戦術変化に対し、台湾軍は最新機材と24時間体制の監視で対応。敵の奇襲能力を無効化するための防空網強化を急ぎ、長期的な緊張状態に耐えうる強靭な防衛体制の維持に努めています。

出典: 中央通訊社(CNA) 参考サイトのアドレス: https://www.cna.com.tw/news/aipl/202512220050.aspx


記事5:大陸委員会、両岸対話再開に「92年コンセンサス」不要との世論を支持

変化する民意:大陸委員会、8割の市民が「対話に政治的前提は不要」と回答—北京の強硬姿勢を批判

1.「92年コンセンサス」への強い拒絶感

台湾の大陸委員会(MAC)は、最新の世論調査結果に基づき、約80%の市民が「両岸(中台)対話の再開にあたり、中国側が主張する『92年コンセンサス(一つの中国の原則)』を受け入れる必要はない」と考えていることを公表しました。中国は対話の条件としてこの政治的前提の受け入れを迫っていますが、台湾国民の圧倒的多数は、対等な立場での対話を求めており、主権を損なうような前提条件には明確にNOを突きつけています。大陸委員会は「民意は、威圧に屈することなく、現状を維持しつつ対話を目指す頼政権の立場を強力に支持している」と分析しました。

2.「理性的な対話」を拒む北京の責任

大陸委員会は、中国側が台湾の民意を無視し、軍事的な威嚇や一方的な政治的前提を押し付け続けることが、かえって両岸の距離を遠ざけ、地域を不安定化させていると厳しく批判しました。調査では、将来的に両岸関係が改善することを望む声も依然として根強いものの、それは「武力の行使を放棄し、民主主義を尊重すること」が大前提となっています。大陸委員会は「対話の扉は常に開かれているが、それは前提条件のない対等なものでなければならない」と再確認。中国政府に対し、台湾の現実と民主主義の価値を直視し、無益な挑発を止めて実務的な対話に応じるよう改めて求めました。

まとめ: 大陸委員会の調査で、8割の市民が対話再開に中国の求める政治的前提は不要と回答しました。主権を損なわない対等な対話を求める強固な民意が示された形です。大陸委員会は、この民意を無視する北京の硬硬姿勢が地域の不安定化を招いていると批判し、前提条件のない実務的な対話を改めて要求しました。

出典: 自由時報(Liberty Times) 参考サイトのアドレス: https://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews/4529000


記事6:内政部、全国の消防・警察・民間組織による「有事救急法」集中訓練を開始

 共助の力を育む:内政部、全国で「有事応急救護スキル」集中訓練を始動—市民を救護の担い手に

1.「命を守る」ための全社会的な備え

台湾内政部は、有事や大規模災害時に負傷者を迅速に救助し、生存率を高めることを目的とした「戦災・大規模災害応急救護スキル集中訓練」を全国で開始しました。この訓練には、消防士や警察官だけでなく、地域の民間防衛組織(ボランティア)、さらには一般企業の従業員も参加しています。内容は、極限状況下での止血帯(ターニケット)の使用法、トリアージ(負傷者の選別)、および安全な搬送手順など、実戦的なスキルの習得に重点を置いています。内政部長は「プロの救助隊が到着するまでの数分間、隣にいる市民が適切に処置できるかどうかが、数千、数万の命を左右する」と、市民の「救命力」向上を訴えました。

2.「全民防衛」を文化として定着させる

内政部は、今回の訓練を一時的なイベントに終わらせず、学校教育や地域活動の中に常設のプログラムとして組み込む方針です。デジタル技術を活用し、スマホアプリで救急処置の手順を即座に確認したり、最寄りの救急資材(AEDや止血キット)の場所を特定したりできるシステムの整備も進めています。演習に参加した市民からは「実際に道具を使い、身体を動かすことで、有事への漠然とした不安が、具体的な『自分にできること』に変わった」という肯定的な反応が寄せられています。パニックに陥らず、冷静に互いを助け合う社会の強靭性こそが、侵攻側に対する「目に見えない強力な抑止力」になるという信念が、この活動を支えています。

まとめ: 内政部は全国で有事応急救護訓練を始動させ、警察・消防・市民が一体となった救命能力の向上を図っています。実戦的な止血法などの習得を通じて、市民を救護の担い手へと育成し、社会全体の強靭性を高めています。この「共助」の精神とスキルの定着は、有事下での生存率を最大化させるための重要な民間防衛戦略です。

出典: 青年日報(Youth Daily News) 参考サイトのアドレス: https://www.ydn.com.tw/news/newsInsidePage?chapterID=166250