台湾有事最新ニュース 2025年12月7日 |
① 「台湾、民間航空会社が偵察飛行に参加 “全社会防衛”の新フェーズへ」
台湾の民間航空会社が、軍や海巡署との協力で偵察飛行を提供。民間も巻き込む“全社会防衛”の仕組みが始まっています。
台湾の航空会社Apex Aviationが、従来の商業便とは別に、偵察・監視任務を担う新たなサービス提供を政府に提案しました。近年、中国軍の航空・海軍の活動が増えているとの状況を受け、同社は改造機へレーダー装備を搭載し、軍・海巡署への情報提供を想定しています。 Reuters
この提案は、台湾が掲げる「全民防衛(whole‑of‑society defence/全社会防衛)」の一環とされ、軍事リソースだけでなく、民間のインフラや企業も防衛参加するモデルへの転換を示しています。政府当局は慎重ながらも、コスト効率や即応性の利点を評価しており、調整を進める構えです。
もし実現すれば、台湾の防衛体制は従来の軍事中心から、広く社会全体を巻き込む体制へと進化する可能性が高く、周辺国・日本にとっても無視できない変化となります。
出典: Reuters “Taiwan airline seeks role in 'whole of society' defence with surveillance flights to counter China” Reuters
② 「台湾、Xiaohongshu(RED)を一時禁止 —情報安全と国民保護の取り組み」
台湾政府が中国発アプリXiaohongshuの利用を1年間禁止。詐欺と情報安全上の懸念を理由としています。
台湾内政部は、中国発の人気アプリXiaohongshu を、詐欺被害や個人情報・データ安全性の問題を理由に、国内でのアクセスを1年間禁止する措置を発表しました。利用者数はおよそ300万人で、多くが若年世代ですが、政府は「安全保障の観点から黙認できない」と判断したようです。 Reuters
この背景には、単なる詐欺被害だけでなく、偽情報拡散、個人データ収集、プロパガンダ的コンテンツ配信といった、安全保障上のリスクがあるとの分析があります。台湾は近年、こうした「情報の脅威」に敏感になっており、サイバー・情報領域を防衛の重要な軸と見なしています。
一時禁止は非常に強い措置ですが、台湾が「自由と情報の安全」を守るために取った厳格な対応と評価されており、民主主義国としての姿勢を示すものとなっています。
出典: Reuters “Taiwan to ban China's Xiaohongshu app for one year on fraud concerns” Reuters
③ 「中国海軍、外国艦航行に“模擬攻撃” —海峡通過の自由と安全保障の軋轢」
台湾当局が報告。中国海軍が台湾海峡通過中の外国艦に“模擬攻撃”を行う事例が確認され、国際海域の安全が改めて問われています。
台湾の安全当局は、中国海軍が台湾海峡を通過する外国軍艦に対し、“模擬攻撃”を行う事例があるとの報告を公開しました。この行為は、航行の自由を主張する国際法秩序と真っ向から対立する行動とされ、台湾と同盟国にとって重大な挑戦です。 Reuters
通過国は米英仏、ベトナムなど多国籍に及び、近年増加傾向にあるとのこと。中国側はこれらを「挑発」と非難していますが、国際社会では海峡が”戦略的要衝”であることを再認識する動きが強まっています。台湾はこれらの事態に対し、情報収集・警戒体制を強化し、同時に国際的な連携と抑止力構築を急いでいます。
この事実は、台湾有事が単なる地域内の問題にとどまらず、国際海洋の秩序と、民主主義国間の結束に直結するテーマであることを示しています。
出典: Reuters “Taiwan says China sometimes stages mock attacks on foreign navy ships in strait” Reuters
④ 「台湾国防予算、補正で400億ドル追加要求 —増大する軍事プレッシャーに備え」
台湾総統が、追加の防衛予算を提案。中国からの圧力急増に対して、軍備の近代化を加速させる構えです。
台湾の賴清徳総統は最近、追加の防衛予算として約 400億米ドル を提案し、議会に付議しました。この措置は、中国の軍事的圧力の高まりを受けたもので、ミサイル防衛、無人機配備、サイバー防衛の強化など多方面への投資が見込まれています。 Reuters+1
また、予備役の強化と訓練制度の拡充も盛り込まれており、台湾は「防衛の土台」を広げる意向を示しています。台湾側は「自由と民主主義を守るため、妥協の余地はない」と強調しており、有事に備える決意を国内外に示しました。
この動きは、単なる軍事強化ではなく、台湾および地域の安全保障を守るための決断であり、日本や同盟国にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
出典: Reuters “No room for compromise on Taiwan's security, president tells reservists” Reuters、Reuters “China honing abilities for a possible future attack, Taiwan defence report warns increased threat China” Reuters
⑤ 「台湾、国民向け防衛ハンドブック配布開始 —有事に備える“市民防衛”の常識化」
台湾政府が全国民に向けて“市民防衛ハンドブック”を配布開始。日常から有事に備える意識を社会全体で高める狙いです。
先月、台湾政府は全国すべての世帯に向けて「国民防衛ハンドブック(Civil Defence Handbook)」の配布を開始しました。これは、有事だけではなく、自然災害やサイバー攻撃、情報戦など多様なリスクに備えるためのガイドで、国民一人ひとりに備えを促すものです。 Reuters
内容には、緊急時の連絡手段、避難ルート、デジタルインフラへの備え、情報の真偽確認方法などが含まれており、従来の「軍事防衛」を超えた「社会全体の防衛」への転換を象徴しています。台湾では、政府だけでなく市民、民間企業、地方自治体が一体となって備える姿勢が強まっています。
この動きは、台湾有事が現実味を帯びる中、日本も他人事ではないという危機感を改めて呼び起こす意味があります。日本国内においても「自国の安全保障を考えるきっかけ」として注目すべきです。
出典: Reuters “First Taiwan to distribute security handbook to all households as China threat rises” Reuters
⑥ 「半導体最大手TSMC、嘉義に先端工場建設へ —有事でも国内生産維持に向けた備え」
台湾の半導体大手TSMCが、嘉義(南部)に先端封止工場を設置へ。地政学リスクに備え、生産の国内分散を図ります。
TSMCは、南部・嘉義県の新施設(AP7)で先端パッケージング工場を稼働させる計画を発表しました。この動きは、台湾有事の際の供給網断絶リスクを軽減するため、製造拠点の多様化・分散化を意図したものです。 ys-consulting.com.tw
半導体は世界のITインフラを支える重要産業。もし台湾で紛争や封鎖が起きれば、世界の供給網に甚大な影響が及ぶ可能性があります。TSMCの国内分散戦略は、こうしたリスクへの備えと捉えられており、日本・米国など半導体需給に関わる国にも大きな意味があります。
技術者の地方配備、雇用の分散、地震・災害リスクへの対策も視野に入れており、台湾の産業防衛=国防の新たな形を示す動きです。
出典: 台湾経済ニュース(ワイズコンサルティング) “TSMCの嘉義先進封止工場、来年Q2量産へ” ys-consulting.com.tw
⑦ 「海峡の緊張、日本にも波及 —中国戦闘機、沖縄近海で日本機に照準レーダー照射」
東シナ海での中国軍の強硬な動きが報告され、日本の防衛にも直結する事態に。台湾有事は日本の安全保障と切り離せません。
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最新報道によれば、中国軍の戦闘機(J‑15など)が沖縄近海で日本の軍用機に対し火器管制レーダー照射を実施したとのことで、日本政府が中国に抗議を行いました。 Reuters
このような行為は、単なる挑発ではなく、戦闘開始直前の威嚇行為とされ、台湾海峡の緊張が日本の防衛に直結することを改めて浮き彫りにしています。台湾が有事に陥れば、日本本土が巻き込まれる可能性と、対中国への抑止力強化の必要性が一段と高まる状況です。
日本と台湾の地理的・安全保障上の近接性を考えると、今回のような事例は「他人事ではない」という認識が求められます。国民一人ひとりが地域の安全環境を理解し、国家防衛を考える重要なきっかけとなるでしょう。
出典: Reuters “Chinese jets directed fire‑control radar at Japanese aircraft, Japan says” Reuters
