本日の7本記事(2025年11月23日)

  

「グレーゾーン海域の絨毯監視 —台湾、ケーブル付近海域を特別パトロール強化」

台湾の国防省は、海底通信ケーブルの陸揚げ地点付近をグレーゾーン戦術に対する重点監視海域に指定し、海巡署との共同巡視を強化しています。

台湾国防省は、海底ケーブルが陸地に接続される地域を「特別監視海域」と定め、警戒態勢を非常に強めています。これは中国などによる「灰色地帯(グレーゾーン)」作戦を念頭に置いた防衛戦略の一環で、海巡署と共同で24時間体制の巡視実施が計画されています。 台北时报+1
巡視では、AIS(自動識別システム)を切る、航跡が不自然な船舶を重点対象とし、レーダーや電子偵察システムを駆使して異常行動を探知。海軍も必要時に支援し、迅速な対応ができる体制が整えられています。 Maritime Executive
海底ケーブルの破壊は通信の途絶だけでなく、国家の防衛指令網、サプライチェーンにも深刻な影響を与えるため、台湾は戦略インフラ防衛を国家安全保障政策の最優先項目の一つとして位置づけています。


出典: Taipei Times 台北时报、The Maritime Executive Maritime Executive+1


「52隻の便宜旗船を重点監視 —台湾、戦略インフラへの潜在リスク増大を警戒」

台湾は便宜国籍を掲げる52隻の船舶を「潜在リスク船」と指定。海底ケーブルへの接近・妨害の可能性を排除せず、警戒強化を図っています。
本文(約520字):
台湾政府は、実質的に中国資本と関連する便宜旗船52隻を戦略的リスクとしてリストアップし、海巡署を通じて継続監視を実施中です。 The Asia Live+1
これらの船はAISを切断して航行する、または遅速航行を繰り返すなど不自然な挙動が観測されており、海底ケーブル付近での停泊や錨下ろしの可能性も指摘されています。 The Asia Live
海巡署はこうした船に対し、無線警告を行ったのち、不応答の場合は巡視船を派遣して確認と調査を行うことを検討。国防部や情報機関も連携し、戦略インフラの保護を狙った抑止策を強化しています。


出典: Focus Taiwan Focus Taiwan - CNA English News、The Asia Live The Asia Live


「国際協力の新戦線 —台湾・欧州、海底ケーブル安全で協定強化」

台湾とヨーロッパ諸国は、海底ケーブルのセキュリティ強化をテーマとしたフォーラムを開催。民主主義国家間でインフラ協力を深める新たな枠組みが始動しています。

2025年10月、台北で開催された「台湾–欧州海底ケーブル安全フォーラム」で、台湾と欧州の民主主義国家が海底通信・エネルギーケーブルの共同保護に向けた協力を打ち出しました。 DSET 研究所
台湾外務省と研究所(DSET)が提唱した「RISK枠組み(リスク軽減・情報共有・制度改革・知見共有)」を基盤に、緊急修復の迅速化、警告体制の国際的共有、法整備の協調などを進める方針です。 DSET 研究所
この枠組みは、通信インフラだけでなく、エネルギーやデジタル主権を守るための国際的な“民主主義の防衛線”として位置づけられており、台湾有事における国際支援を強化する重要な戦略となっています。


出典: Research Institute for Democracy, Society and Emerging Technology (DSET) DSET 研究所


「制度化で強化する海底防衛 台湾、ケーブル損傷への刑罰強化を検討」

台湾政府は海底ケーブル損傷に対して厳罰を科す法改正を検討中。国家インフラを守る法的枠組みを整える動きが加速しています。

台湾内閣は通信インフラを狙った破壊や妨害行為への対抗策として、海底ケーブル損傷者に対する刑事罰を強化する法案を準備しています。 台北时报
法案案では、故意または重大過失によるケーブル破損時に賠償・懲役を含む厳しい罰則を導入し、加えて便宜旗を持つ船の厳しいポート管理を義務付ける案も含まれています。 台北时报
加えて通信事業者や関連機関が修復用備蓄を持つこと、AIS監視や警告システムの義務化を通じ、被害を最小限にする制度的な防衛網を構築する構想です。


出典: Taipei Times 台北时报


⑤「電子戦の舞台に注目 —中国、台湾電子戦部隊を標的に個人情報流布」

中国当局が、台湾の電子戦を担う資通電軍(サイバー部隊)の隊員個人データを公開。認知・サイバー両面での圧力が強まっています。

中国国家安全部(国安部)は、台湾の資通電軍(電子戦部隊)に所属する現役軍人4人の氏名・顔写真・所属を公開しました。 YS Consulting
これは、サイバー攻撃の実行者として名指しすることで、心理的圧力(認知戦)をかける狙いがあるとみられています。台湾側は、これを「名誉を傷つける情報操作」と反発。資通電軍はその任務を「台湾の重要ネットワークの防衛」と説明し、国家防衛の正当性を強調しています。 YS Consulting
この動きは、中国がハイブリッド戦術としてサイバーだけでなく個人攻撃を通じた分断を狙っていることを示しており、台湾にとって国家レジリエンスを高める重大な挑戦となっています。
出典: ワイズコンサルティング YS Consulting


「サイバー攻撃が日常化 —台湾、1日平均280万件の中国起点攻撃に直面」

台湾国家安全局が、中国からの大規模サイバー攻撃が日常化していると報告。政府系ネットワークなど重要セクターが標的に。

台湾国家安全局の報告によれば、2025年には中国発とみられるサイバー攻撃が急増し、1日平均で 約280万件 に達するとの分析があります。 Reuters
攻撃対象は通信、防衛、医療、エネルギーなど国家の基幹インフラで、単なる妨害ではなく、情報収集や偽情報拡散を目的とした“大規模な戦略的攻撃”の可能性が指摘されています。 Reuters
さらに、これら攻撃には「オンライン・トロール軍団」が関与しており、SNSやフォーラムを使った分断工作やプロパガンダが同時展開されているとの警戒も強まっています。台湾政府はサイバー防衛力強化と、市民の情報リテラシー向上を重要な政策課題と位置づけています。


出典: Reuters Reuters


「国際世論と民主主義防衛 —台湾、欧州と海底ケーブルリスク管理協定を発表」

台湾–欧州共同で海底ケーブル保護の枠組みを強化。通信ラインを民主主義の“デジタル命綱”として守る戦略が鮮明化しています。

2025年10月、台湾と欧州の民主主義諸国は「国際海底ケーブルのリスク管理イニシアティブ(RISK)」を発表。これは、デジタル通信の安全性を守るため、異常船舶の監視、早期警告、制度的抑止力の構築を目指す枠組みです。 DSET 研究所+1
具体策には、リアルタイムの情報共有ネットワーク、修復協力メカニズム、法整備の協調、専門教育や共同演習などが含まれ、通信インフラを守るための国際協力が本格化。 DSET 研究所
この協定は、台湾が単独で防衛するだけでなく、同盟民主国家との連帯を通じて、戦略的インフラを保護する「連帯型安全保障」を実現する重要なステップと評価されています。
出典: DSET(研究所) DSET 研究所