台湾有事ニュース(2026年1月10日)

  

記事1:頼清徳総統、野党の「国防予算封殺」を強く非難

抑止力の危機:頼総統、野党による防衛特別条例の審議拒否を「徳なき行為」と糾弾

1.予算案「1.25兆元」を巡る与野党の激突

頼清徳総統は1月10日、台北市内で開催された「2026 AI人材年会」に出席し、取材に対し、野党・国民党が1.25兆台湾ドル(約6.2兆円)規模の「防衛強靭化および非対称戦力計画採購特別条例」草案を再度封殺し、委員会審議への付託を拒んだことに対し、強い遺憾と憤りを表明しました。

頼総統は「国防予算がなければ国家の安全はなく、経済発展もあり得ない」と断言。国民党が一部の民生予算のみを先行審査しようとしている動きを「徳なき行為(為徳不卒)」と厳しく批判し、予算案全体の迅速な審査を求めました。

2.国際社会の注視と「台湾の責任

頼総統はまた、米国在台協会(AIT)の谷立言(レイモンド・グリーン)処長が最近、野党指導者らを訪問して防衛予算の重要性を説いたことに言及しました。

「台湾の安全と海峡の平和は国際社会が注視する共通の課題であり、予算の停滞は世界の期待を裏切るものだ」と指摘。台海情勢の安定は世界の繁栄に不可欠な要素であり、野党は党利党略を捨て、国家としての責任を果たすべきだと説きました。

軍事専門家は、予算の遅れが新型ミサイルやドローンの導入スケジュールを直撃し、中国に対する抑止力の空白を生むリスクを危惧しています。

まとめ: 頼総統は、野党による防衛予算の封殺が国家安全保障と経済を脅かしていると厳しく警告しました。国際社会が台湾の自衛努力を注視する中、内政の混乱による予算停滞は「侵攻側への誤ったシグナル」になりかねません。頼総統は「実力による平和」を実現するため、与野党の結束と迅速な予算成立を強く訴えています。

出典: 中央通訊社(CNA) 参考サイトのアドレス: https://www.cna.com.tw/news/aipl/202601100032.aspx


記事2:バチカン教皇が東アジア緊張に懸念、台湾大使が頼総統の挨拶を伝達

外交の連帯:ローマ教皇、東アジア情勢の緊迫化に懸念表明—駐教廷大使が頼総統の平和の願いを伝達

1.教皇庁における「台湾の存在感」

バチカン(教皇庁)において1月9日、教皇フランシスコ(十四世)が駐教廷外交使節団を接見しました。

この場で、台湾(中華民国)の賀忠義・駐教廷大使は教皇と握手を交わし、頼清徳総統からの心からの問候と祝福を直接伝えました。

教皇は演説の中で、東アジアを含む世界各地で高まる地政学的な緊張に対し、深い懸念と関心を表明。唯一の欧州における外交承認国であるバチカンとの緊密な対話は、中国による外交的封じ込めが続く台湾にとって、国際的な正当性と平和への意志を世界に示す極めて重要な場となりました。

2.「平和の使者」としての国際協力

賀大使は教皇に対し、台湾が人道支援や災害救助を通じて国際社会の「良き力」であり続ける決意を伝えました。

有事リスクが高まる中、バチカンが東アジアの緊張を公式に議題に挙げることは、台湾海峡の問題が宗教や倫理の観点からも世界の関心事であることを意味します。

台湾外交部は、今後も教皇庁と連携し、武力による解決を否定し、対話と慈愛による平和の構築を訴えていく方針です。この高レベルの交流は、中国による宗教を通じた工作を牽制し、台湾が自由と信仰を守る「民主主義の灯台」であることを国際社会に再認識させる成果となりました。

まとめ: 駐教廷大使を通じて頼総統の挨拶が教皇に伝えられたことは、日米欧とは異なる「道徳的権威」を背景とした外交的支援の確認となりました。教皇が東アジアの緊張を懸念した事実は、台湾有事が世界規模の平和課題であることを示唆しています。台湾は宗教・人道外交を通じて、中国の孤立化工作に屈しない姿勢を堅持しています。

出典: 中央通訊社(CNA) 参考サイトのアドレス: https://www.cna.com.tw/news/aipl/202601100010.aspx


記事3:内政部、台湾の安全保障を「1949年以来、空前の脅威」と分析

歴史的転換点:内政部・馬政務次官「台湾は空前の脅威に直面」—1949年以降で最も危険な局面

1.「平時の有事」としてのハイブリッド戦

台湾内政部の馬士元・政務次官は、立法院内政委員会での答弁において、現在の台湾が直面している安全保障上の脅威は、1949年に中華民国政府が台湾に移転して以来、最大かつ最も複雑なものであるとの危機感を示しました。

馬氏は、中国による物理的な軍事威嚇に加え、サイバー攻撃、認知戦(偽情報工作)、および内部へのスパイ浸透が組み合わされた「ハイブリッド戦」が、台湾の社会基盤を根底から揺るがそうとしていると分析。昨年末の軍事演習で見られた「封鎖」の試みは、その序曲に過ぎないとの見方を示しました。

2.全社会防衛強靭化の緊急性

馬氏は、軍事力だけでは国家を守りきれない現状を説き、内政部が推進する「全社会防衛強靭化」の重要性を強調しました。これには、重要インフラ(電力・通信)の物理的な防護だけでなく、市民の防災・救護スキルの普及、そして情報の真偽を判断する「メディアリテラシー」の向上が含まれます。

有事において「社会がパニックに陥らないこと」こそが、侵攻側に対する最大の抑止力になるというのが内政部の立場です。政府は、この空前の脅威を乗り越えるため、警察・消防・民間の連携を法制化し、国家としての「折れない強さ」を構築することを最優先課題としています。

まとめ: 内政部高官による「1949年以来、空前の脅威」という発言は、現在の台湾が歴史的な存亡の機にあることを公式に認めたものです。軍事的侵攻だけでなく、社会の内部崩壊を狙う中国の多角的な圧力に対し、台湾は「全社会防衛」という新たな防衛パラダイムの構築を急いでいます。国民の団結と備えこそが、この危機を打開する鍵となります。

出典: 自由時報、 参考サイトのアドレス: https://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews/4536000


記事4:経済部、半導体装置「国産化連盟」の発足により封鎖への耐性を強化

供給網の要塞:経済部、半導体製造装置の「国内生産連盟」を構築—有事の部品供給途絶を回避

1.海外依存からの脱却と自立化の加速

台湾経済部(経済省)は1月10日、台湾の半導体産業の強靭性を高めるため、国内の装置メーカーとTSMC等の大手ファウンドリを繋ぐ「半導体設備国産化推進連盟」を正式に発足させました。

有事の際、中国が台湾海峡を封鎖し、米国や日本、欧州からの部品や装置の供給がストップした場合でも、国内でメンテナンスや重要部品の生産を継続できる体制を整えることが目的です。

経済部は、特に故障頻度の高い消耗品や、製造プロセスの重要モジュールについて、2026年中に国内自給率を50%以上に引き上げる目標を掲げました。

2.「経済的安全保障」の質的向上

郭智輝経済部長は「半導体の継続生産能力こそが、台湾が世界から見捨てられないための最大のレバレッジ(てこ)である」と強調。連盟には国内のIT大手だけでなく、研究機関も参画し、AIを用いた予兆保全技術の開発も進めます。これにより、物理的な攻撃や封鎖下でも、世界のデジタル経済を支えるチップ供給を一定期間維持できる「経済の要塞化」を実現します。

また、日本企業との協力も深化させ、台湾内での共同生産拠点の設置を促すことで、地政学的リスクを分散しつつ、日台の「運命共同体」としての経済的絆をより強固なものにする方針です。

まとめ: 経済部による国産化連盟の発足は、台湾の「シリコンシールド」をより実戦的・物理的なものへと進化させる動きです。封鎖に備えた装置・部品の自立化は、中国による「物流遮断」という脅しを無効化する強力な経済的抑止力となります。富強な産業基盤を守り抜くことが、国家の生存を担保する不可欠な戦略となっています。

出典: 経済日報 参考サイトのアドレス: https://money.udn.com/money/story/5612/7667000


記事5:デジタル発展部、有事の通信バックアップとして「低軌道衛星」網を全土展開

情報の不沈化:デジタル発展部、台湾全土での「低軌道衛星通信」運用を開始—海底ケーブル切断に備え

1.「情報の島」を孤立させない新技術

台湾のデジタル発展部(デジタル庁)は1月10日までに、台湾有事において中国が海底ケーブルを破壊し、台湾を世界から情報遮断するシナリオに対処するため、低軌道衛星(LEO)を活用したバックアップ通信網の全国的な配備を完了したと報告しました。

昨年末の地震や演習でその有効性が実証されたことを受け、重要官庁や医療機関、災害拠点病院など全国数百カ所に専用の受信端末を設置。万が一の断線時でも、政府の指揮系統や国民の緊急通信を維持できる「デジタルの不沈化」を実現しました。

2.「認知戦」を無効化するリアルタイム通信

デジタル発展部は、海外の複数の衛星通信事業者と契約を交わし、特定のサービスに過度に依存しない「マルチプロバイダー体制」を構築。これにより、サイバー攻撃や物理的な妨害を受けても、代替経路を即座に確保できる強靭性を備えました。

有事において「台湾の声」を世界に届け続けることは、中国の偽情報(認知戦)を封じ込めるための最大の武器となります。

2026年、デジタル発展部はさらに民間企業や住民に対しても衛星通信の利用環境を拡大し、社会全体で「情報の空白」を作らせないためのデジタル・レジリエンス強化を推進していく方針です。

まとめ: デジタル発展部による低軌道衛星網の全土展開は、台湾の安全保障における「情報の命綱」を確保する画期的な成果です。海底ケーブルの脆弱性を技術で補い、いかなる封鎖下でも世界と繋がり続ける能力は、中国の侵攻シナリオを根本から揺るがす強力な「情報の盾」となります。2026年、台湾はデジタルの領域でも不沈の地位を固めています。

出典: 中央通訊社(CNA)、自由時報 参考サイトのアドレス: https://focustaiwan.tw/society/202601100015


記事6:謝長廷氏、台湾日本関係協会会長に就任—対日外交の新体制

 日台の絆:前駐日代表の謝長廷氏、台湾日本関係協会会長に就任—「成人式」を迎える日台協力

1.8年間の駐日経験を活かした新体制

前駐日代表(大使に相当)の謝長廷氏が、台湾の対日本窓口機関である「台湾日本関係協会」の会長に正式に就任しました。

謝氏は駐日代表としての8年間、新型コロナワクチン提供の支援取り付けや、中国によるパイナップル禁輸措置への対応など、日台の「困難な時期」を支えた功労者です。就任会見で謝氏は「現在の日台関係は、単なる交流の段階を超え、互いの安全と繁栄を共に守る『成人式』の節目を迎えている」と述べ、2026年も民間・政治・安全保障のあらゆるレベルで日本との連携を深化させる決意を語りました。

2.「台湾有事は日本有事」の具現化に向けて

謝氏の新会長就任は、頼政権が「対日外交」を国家安全保障の最優先事項と位置づけていることの表れです。

謝氏は、日本の高市首相による「台湾有事」への明確な関与姿勢を歓迎しつつ、日米台の「統合抑止」を実務レベルでいかに具現化させるかが喫緊の課題であると指摘。特に災害救助、サイバー防衛、そして半導体「熊本同盟」の推進を通じて、日台が不可分なパートナーであることを国際社会に示し続ける重要性を強調しました。

謝氏の強力な人脈と政治力は、2026年の緊迫する情勢下で、日本からの支持を取り付けるための大きな外交的資産となります。

まとめ: 謝長廷氏の日本関係協会会長就任は、日台の「運命共同体」としての絆をより強固なものにする戦略的人事です。駐日代表としての豊富な経験を活かし、有事を見据えた実務的な安全保障協力と経済連携を加速させる方針です。日台の結束が、中国の一方的な現状変更を阻む「目に見えない強力な防波堤」を構築しています。

出典: 台湾国際放送(Rti)、中央通訊社(CNA) 参考サイトのアドレス: https://www.rti.org.tw/jp/news?uid=3&pid=185384