台湾有事ニュース(2025年12月30日)

  

記事1:中国軍、演習2日目にロケット弾7発を発射—海巡署が着弾を確認

緊迫の火線:中国軍、演習2日目にロケット弾10数発を発射—台湾海峡の禁止区域内に着弾

1.実弾射撃による物理的威圧の激化

中国人民解放軍は12月30日、台湾包囲軍事演習「正義使命―2025」の2日目を実施し、台湾海峡周辺の指定区域に向けてロケット弾計7発を発射しました。台湾の海洋委員会海巡署(コーストガード)は、同日午前9時までにロケット弾が台湾海峡の航行禁止区域内2カ所に着弾したことを統合監視網で完全に把握したと発表しました。今回の実弾射撃は、台湾の主要港湾封鎖を想定したシナリオをより具体化させるものであり、中国側は「外部勢力の干渉に対する厳重な懲罰」と主張して威嚇を強めています。海巡署は「いかなる事故も発生していない」としつつ、高度な警戒を維持しています。

2.「一対一」の監視体制で現状を死守

海巡署は、演習海域付近に展開する中国海警船の動向も全行程で監視しており、巡視船を「一対一」で対峙させることで、中国船による恣意的な領海侵入や妨害行為を力強く阻止しています。また、海警船に対しては、情勢を誤認しないよう中国語と英語のアナウンスで慎重な行動を促しました。中国メディアが報じた「台湾の4カ所の港を完全に封鎖した」というニュースについては、海巡署は「紛れもない偽情報(認知戦)」であると断じ、国民に惑わされないよう呼びかけています。物理的な実弾攻撃と、精神的な揺さぶりを組み合わせた中国の複合的な圧力に対し、台湾は現場の確実な対応で主権を死守しています。

まとめ: 中国軍は演習2日目にロケット弾7発を台湾海峡に発射し、実弾による挑発をエスカレートさせました。これに対し、海巡署は着弾を正確に把握し、現場での「一対一」の監視によって実効支配を維持。中国による「港湾封鎖」という偽情報を即座に否定し、物理・情報両面での防衛を貫徹しています。

出典: 中央通訊社(CNA) 参考サイトのアドレス: https://japan.focustaiwan.tw/cross-strait/202512300007


記事2:国防部、過去最多の中国軍機130機を確認—「中間線」越えも90機に

 空の重圧:過去24時間で中国軍機130機、艦船14隻を探知—「中間線」越えは過去最多級の90機

1.空前規模の航空戦力投入

台湾国防部は12月30日、過去24時間(29日午前6時から30日午前6時まで)に、台湾周辺で中国軍機延べ130機、軍艦14隻、公船8隻、および中国の気球1つを探知したと発表しました。特筆すべきは、130機のうち90機が台湾海峡の中間線を越え、台湾の北部、中西部、南西の空域に侵入した点です。これは1日あたりの侵入数としては過去最多級であり、中国側が「正義使命―2025」演習において、台湾の防空網に極限まで負荷をかける「飽和的な威圧」を仕掛けている実態を浮き彫りにしています。

2.実戦的な「封鎖と突入」のシミュレーション

国防部の分析によると、侵入した機体には主力戦闘機「殲16(J-16)」のほか、電子戦機や空中給油機が含まれており、長時間の滞空と多角的な攻撃ルートを検証する狙いがあると見られます。国防部は「軍は交戦規定に基づき、哨戒機、艦艇、地上配備のミサイルシステムを動員して厳密に対処している」と強調。地震後の復旧作業の隙を突くような中国の軍事行動を「地域の平和を破壊する侵略者の本質」として厳しく非難しました。台湾軍は、数で勝る敵に対し、情報の透明性と効率的な防空運用を武器に対抗しており、緊張が続く中でも「鉄壁の監視網」を維持しています。

まとめ: 国防部は過去24時間で130機の中国軍機を探知し、うち90機が中間線を越えるという、極めて激しい威圧を受けました。空前規模の戦力投入は台湾の防衛能力を試すものですが、台湾軍は24時間体制の即応・監視体制でこれを封じ込めています。侵略的な演習に対し、実力で現状を守り抜く姿勢を鮮明にしています。

出典: 青年日報(Youth Daily News) 参考サイトのアドレス: https://www.ydn.com.tw/news/newsInsidePage?chapterID=166320


記事3:中国軍演習の影響で離島便84便が欠航—航空・海運ルートに支障

市民生活への打撃:軍事演習により金門・馬祖便など84便が欠航—国際航路への影響も懸念

1.交通インフラを狙った「経済的封鎖」の予行演習

中国軍が台湾海峡周辺に設定した7カ所の「臨時危険区域(航行禁止区域)」の影響により、12月30日、台湾国内の離島を結ぶ航空便計84便が欠航を余儀なくされました。交通部民用航空局によれば、主に金門や馬祖行きの便が影響を受け、約6,000人の旅客の足が乱れました。中国側が演習を通じて「物理的な封鎖」を演出していることは明らかであり、これは軍事目的のみならず、台湾の社会・経済活動を麻痺させる「経済的封鎖」の予行演習としての側面を強く持っています。

2.国際社会の航行の自由を脅かす暴挙

演習区域は国際的な航空路(国際線)や海上交通路(シーレーン)にも近接しており、交通部は「今後850便以上の国際線に遅延やルート変更の影響が出る可能性がある」と警鐘を鳴らしました。外交部は、中国の身勝手な演習が国際航路の安全を脅かし、世界の物流に混乱を招いていることを国際社会へ向けて強く訴えています。有事において物流の遮断は死活問題であり、今回の事態は台湾の「耐久力」と「代替ルート確保能力」を試す試練となっています。政府は、民間企業への影響を最小限に抑えるための調整を急ぐとともに、中国の非理性的な行動を「平和への挑戦」として批判し続けています。

まとめ: 中国の演習設定により離島便84便が欠航し、市民生活と物流に直接的な影響が出ています。これは軍事的な封鎖能力の誇示であり、国際航路の安全をも脅かす無責任な行為です。台湾政府は代替路の確保に努めつつ、中国の暴挙を国際社会に訴え、経済・交通の強靭性を維持するための戦いを続けています。

出典: 中央通訊社(CNA)、自由時報 参考サイトのアドレス: https://japan.focustaiwan.tw/cross-strait/202512300008


記事4:頼総統、中国演習を「責任ある大国の姿から程遠い」と非難

国家の威信:頼総統、中国の軍事挑発を「非理性的」と一蹴—「民主主義の砦」を守る決意を再確認

1.侵略者の本質を突くトップの声明

中国の演習が2日目を迎える中、頼清徳総統は12月30日、自身の公式SNSおよび総統府を通じた声明で、中国の軍事行動を「責任ある大国のあるべき姿とは程遠い、地域の平和を一方的に破壊する行為だ」と厳しく非難しました。頼総統は、台湾が地震からの復旧という人道的な課題に取り組んでいる最中に、中国が軍事的な威圧を強めてきたことに対し、その冷酷さを指摘。台湾国民および国際社会に対し、中国の狙いは「恐怖の植え付け」にあるが、台湾の民主主義への信念は揺るがないことを力説しました。

2.「実力による平和」と国際連帯の重要性

頼総統は、国防部が全ての状況を掌握していることを強調し、国民に冷静さを保つよう呼びかけるとともに、米国や日本などのパートナー諸国が台湾海峡の安定を支持していることに謝意を表明しました。総統府は「我々は挑発せず、しかし威圧に屈することもない」という不変の立場を改めて示し、国防予算の適正な運用と自衛能力の強化を加速させる方針を強調。頼総統の毅然とした姿勢は、中国が狙う「社会の分断」や「政府不信」を食い止める強力な精神的支柱となっており、演習という逆風の中で、台湾のナショナル・レジリエンス(国家の強靭性)を象徴しています。

まとめ: 頼総統は、中国の演習を「無責任な非理性的行動」として切り捨て、民主主義を守り抜く意志を再確認しました。地震復旧期の挑発という中国の冷酷さを指摘しつつ、「実力による平和」を掲げて国民の団結と国際連携を訴えています。この強い指導力が、中国の心理戦に対する最大の防壁となっています。

出典: 総統府ウェブサイト、中央通訊社(CNA) 参考サイトのアドレス: https://www.cna.com.tw/news/aipl/202512300115.aspx


記事5:TSMC、米アリゾナ工場の3ナノ量産を1年前倒しし2027年開始へ

戦略的布石:TSMC、米AZ工場の3ナノ量産を2027年へ前倒し—地政学的リスク下での供給網強化

1.米台経済安全保障の深化

世界最大の半導体受託生産(ファウンドリ)であるTSMC(台湾積体電路製造)が、米国アリゾナ州に建設中の晶圓(ウェハー)工場の進程を加速させ、当初2028年を予定していた「3ナノプロセス」の量産開始を2027年へと1年前倒しする方針であることが、12月30日までに明らかになりました。これは、インテルや三星(サムスン)との競争に加え、米中対立に伴うサプライチェーンの安定化を求める顧客(アップル、エヌビディア等)の強い要請に応えるものです。台湾海峡の緊張が高まる中、TSMCが米国での生産体制を早期に確立することは、グローバルな半導体供給の「保険」としての意味合いを強めています。

2.「台湾本国」の技術的優位性は維持

TSMCはこの動きを通じ、米国との関係を深化させつつ、台湾本国の工場ではさらに次世代の「2ナノ」以下の開発・量産を先行させる「N-2」戦略を堅持しています。経済部は「最先端技術の根幹は常に台湾にある」と強調。軍事演習が続く中でも、TSMCが世界をリードする投資を継続していることは、台湾が世界経済に不可欠な「シリコンシールド」であることを示す最強の証明です。株価も演習の悪影響を限定的にとどめており、台湾の経済的な強靭性が、有事リスクに対する投資家の信頼を支えています。技術の要塞化は、台湾の長期的な生存を担保する不可欠な戦略です。

まとめ: TSMCはアリゾナ工場の量産前倒しを決定し、地政学的リスクへの対応と米台協力の強化を鮮明にしました。軍事演習の嵐の中でも、世界経済の心臓部としての役割を淡々と遂行するTSMCの姿は、台湾の経済安全保障の堅牢性を象徴しています。最先端技術を台湾に留めつつ供給網を広げる戦略が、台湾の国際的な価値を高め続けています。

出典: 経済日報、独家報道(Scoop TW) 参考サイトのアドレス: https://www.scooptw.com/sunmedia/428563


記事6:内政部、演習下の「工作員・偽情報対策」を強化—社会の安定を死守

 内部の防衛:内政部、軍事演習に呼応した「工作員による攪乱」を厳戒—偽情報への即時反論を徹底

1.演習に乗じた「認知戦・工作」の激化

中国軍が「正義使命―2025」演習を展開する中、内政部警政署(警察庁に相当)は、演習に呼応して台湾国内で混乱を誘発しようとする潜伏工作員やサイバー攻撃、および偽情報の拡散に対する警戒を最高レベルに引き上げました。特にSNS上で「中国軍が上陸した」「重要拠点が占領された」といった加工動画や偽ニュースが組織的に拡散されており、内政部はこれらを「国民の戦意を挫くための認知戦」と断定。デジタル発展部と連携し、AI検知ツールを用いて数分以内に偽情報を特定し、公式チャンネルで即座に反論する体制を敷いています。

2.重要インフラの警備と「市民の目」

内政部はまた、発電所や通信センターなどの重要インフラ拠点に特殊警察を増派し、物理的な破壊工作に対する24時間体制の警備を実施しています。林右昌内政部長は「敵は空と海からだけでなく、スマホの画面や街中の死角からも攻めてくる」と述べ、市民に対し不審な動きや情報の通報を呼びかけました。今回、離島便の欠航など市民生活に実害が出ている状況を逆手に取った「不安を煽る宣伝」も確認されていますが、内政部は透明性の高い情報公開を通じて社会の平穏を維持しています。内部の団結を保つことこそが、外部からの軍事演習を無効化する最大の防御です。

まとめ: 内政部は軍事演習と連動する「工作員・偽情報」の脅威に対し、最高レベルの警戒を敷いています。AIを駆使した認知戦対策と、重要拠点の物理的警備を両立させ、社会のパニックを未然に防いでいます。外部からの軍事的威圧に屈しない強靭な社会を維持するため、情報の正確性と現場の警備で「内なる防衛線」を守り抜いています。

出典: 聯合報(United Daily News)、自由時報 参考サイトのアドレス: https://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews/4532000