台湾有事ニュース(2025年12月23日)

  

記事1:海巡署、金門海域での中国公船による「常態的干渉」を強く批判

 侵食される境界:海巡署、金門周辺での中国海警船による「常態的侵入」を報告—主権維持への決意

1.法執行を装った既成事実化の試み

台湾の沿岸警備を担う海巡署(コーストガード)は、金門島周辺の制限・禁止水域において、中国海警局の船舶による進入が「常態化」しているとの最新報告を公表しました。報告によると、中国公船は「法執行」の名目で台湾側の水域に侵入し、台湾の漁船や運搬船に対して一方的な警告や進路妨害を繰り返しています。これは、金門海域における台湾の管轄権を否定し、実効支配を段階的に強める「グレーゾーン戦術」の一環です。海巡署は「中国側の行為は地域の平和と安定を著しく損なうものであり、国際法に照らしても断じて受け入れられない」と断じ、厳重な抗議を行いました。

2.24時間体制の対抗措置と現場の緊張

海巡署は、中国海警船の進入を確認するたびに、即座に巡視船を派遣して警告・駆逐活動を行っています。現場では、数で勝る中国側に対し、台湾の小型巡視艇が機動力を活かして進路を遮るなど、極めて緊迫した状況が続いています。海巡署は「我々の姿勢は明確だ。一歩も引かず、法に基づき主権を守り抜く」と強調。軍事専門家は、金門での緊張は台湾本島への心理的な圧力としても機能していると指摘しており、海巡署の毅然とした対応は、台湾国民の防衛意識を支える象徴的な防波堤となっています。海巡署は引き続き、レーダー監視と現場での物理的対応を強化し、境界線の死守に努めています。

まとめ: 海巡署は金門海域での中国海警船による常態的な干渉を「不当な挑発」として非難しました。グレーゾーン戦術を通じた実効支配の侵食に対し、海巡署は24時間体制で厳格な対抗措置を講じ、主権維持に努めています。離島周辺の緊張は、台湾の安全保障における最前線の攻防となっています。

出典: 中央通訊社(CNA) 参考サイトのアドレス: https://www.cna.com.tw/news/aipl/202512230001.aspx


記事2:外交部、日本参議院「TY会」訪問団と安全保障協力を議論

 日台連帯の深化:林佳龍外交部長、日本参議院訪問団と会談—地域の平和維持で一致

1.「現状維持」のための実務的な対話

台湾外交部(外務省)の林佳龍部長は12月23日、訪台した日本の参議院議員グループ「TY会」のメンバーと会談しました。会談では、中国の軍事活動増加に伴う東アジア情勢の緊迫化について意見が交わされ、日台が自由で開かれたインド太平洋を守るための「不可欠なパートナー」であることを再確認しました。林部長は、日本政府および国会議員が「台湾海峡の平和と安定の重要性」を国際舞台で繰り返し発信していることに深い謝意を表明。特に、情報の共有やサイバーセキュリティ、災害救助などの非軍事分野での協力体制をより具体的かつ実務的なレベルに引き上げる必要性を説きました。

2.価値観を共有する「運命共同体」

日本側議員団は「台湾の平和は日本の平和である」という認識を強調し、今後も超党派で台湾を支持し続ける姿勢を示しました。会談では経済安全保障も主要な議題となり、半導体サプライチェーンの強靭化や、台湾のCPTPP加入への日本の支援についても前向きな議論が行われました。外交部は、こうした議員外交が中国の外交的封じ込めを打破する重要な鍵であると考えています。中国側は日台の接触に抗議していますが、外交部は「主権国家間の正常な交流であり、地域の安定に寄与するものだ」として、今後も日本との多角的な連携を強化する方針を崩していません。

まとめ: 林佳龍外交部長は日本参議院訪問団と会談し、地域の平和と安定に向けた日台の緊密な連携を再確認しました。安全保障、経済、デジタルなど多分野での協力強化が議論され、日台の「運命共同体」としての意識が改めて強調されました。議員外交を通じて国際的な孤立を防ぎ、抑止力を高める戦略が推進されています。

出典: 自由時報(Liberty Times) 参考サイトのアドレス: https://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews/4525000


記事3:国防部、国内の重要「地下要塞」への電磁パルス対策を強化

電磁戦への備え:国防部、全土の重要指揮所および地下要塞の「EMP防護」を完了—指揮系統の維持

1.現代戦の「第一撃」を想定した防護策

台湾国防部は、中国軍が有事の第一撃として使用すると想定される電磁パルス(EMP)攻撃から、指揮系統や通信網を守るための「EMP防護工事」を、国内の主要な地下拠点において完了させたと発表しました。EMP攻撃は、強力な電磁波によって電子機器を瞬間的に破壊し、社会インフラや軍の通信を麻痺させる脅威です。国防部は、衡山指揮所(統合参謀本部)をはじめとする重要要塞において、高度な遮蔽技術を導入。これにより、攻撃下でも情報の途絶を防ぎ、即座に反撃・指揮を継続できる「指揮の継続性」が大幅に向上しました。これは、物理的な破壊だけでなく、目に見えない電磁波による「機能停止」を防ぐための不可欠な備えです。

2.多層的な防衛網によるレジリエンスの向上

国防部はこの防護工事を、サイバー攻撃や物理的なミサイル攻撃と組み合わせた「ハイブリッド戦」に対する重要な防衛ラインと位置づけています。地下要塞の要塞化に加え、予備の通信設備や独自の電源系統の多層化も進められており、極限状態でも政府と軍が機能し続ける体制を整えています。軍事専門家は「電磁パルス対策の完了は、侵攻側に対して『通信の遮断によるパニックは起こせない』という強力な信号を送るものである」と評価。国防部は引き続き、最新の技術を導入して電子戦・電磁戦における防御能力を向上させ、台湾の「デジタル・フィジカル双方の要塞化」を加速させる方針です。

まとめ: 国防部は主要地下要塞における電磁パルス(EMP)防護工事の完了を発表しました。これは有事の初期段階での通信・指揮系統麻痺を防ぎ、反撃能力を維持するための極めて重要な措置です。多層的な防衛網を構築することで、台湾はハイブリッド戦におけるレジリエンスを強化し、敵の攻撃シナリオを無効化する能力を高めています。

出典: 青年日報(Youth Daily News) 参考サイトのアドレス: https://www.ydn.com.tw/news/newsInsidePage?chapterID=166180


記事4:国台辦、高市首相の発言を再度非難—台湾外交部は「平和の敵は中国」と反論

言葉の攻防:中国国台辦、日本の「有事言及」を非難—台湾側は「覇権主義こそが脅威」と一蹴

1.歴史問題を絡めた北京の恫喝

12月23日、北京で開催された抗日戦争に関連する研討会において、中国の国務院台湾事務弁公室(国台辦)の担当者が、日本の高市早苗首相による「台湾有事は日本の存立危機事態」とする発言を再度激しく非難しました。担当者は「日本の指導者が台湾問題に武力介入しようとするのは、歴史的なレッドラインを越える行為だ」と主張し、日本が再び中国を威嚇しようとしていると扇動的な言葉で批判。この発言は、台湾の安全保障における日台の緊密な連携を、中国が極めて深刻な「脅威」として捉えていることを如実に示しています。中国側は、歴史問題をカードとして使い、日本の世論を分断しようとする「認知戦」を展開しています。

2.台湾外交部の冷静な反論

これに対し、台湾の外交部は「中国こそが台湾海峡の平和を一方的に脅かしている当事者である」と冷徹に反論しました。外交部は、日本や米国の指導者が現状維持と平和の重要性を説くのは、国際社会の共通利益に合致する正当な主張であると強調。中国側が歴史を持ち出して他国を批判するのは、現在の覇権主義的な軍事活動から国際社会の目を逸らすための詭弁であると断じました。台湾国内の専門家は「中国の過剰な反発は、それだけ日米台の連携が強力な抑止力として機能している証左だ」と分析。言葉の応酬の裏で、台湾は日本との実務協力を進め、中国の「言葉による脅迫」に屈しない姿勢を鮮明にしています。

まとめ: 中国国台辦は北京の場で高市首相の発言を再度非難し、日本を強く牽制しました。対する台湾外交部は、中国の覇権主義こそが平和の敵であると反論。歴史問題を絡めた中国の認知戦に対し、台湾は日米との連携を正当な「抑止力」として正当化し、北京の恫喝に屈しない姿勢を強調しています。

出典: 聯合報(United Daily News) 参考サイトのアドレス: https://udn.com/news/story/7331/7660000


記事5:国防部、中国軍艦艇100隻超の展開報道に対し「全行程掌握」を強調

 海上の重圧:中国、軍艦・公船100隻超を東アジアに展開か—台湾軍は高度な監視で「不測の事態」に備え

1.過去最大規模の海上動員への警戒

台湾国防部は、周辺空域での中国軍機活動に加え、中国が計100隻を超える軍艦および海警局の船を東アジア海域に広範に展開させているとの動向を受け、警戒レベルを維持しています。国防部高官は、具体的な隻数についての言及は避けたものの、「中国軍の動向は全行程において厳密に把握しており、台湾周辺での異常な活動に対しては即座に対応できる体制にある」と説明。この大規模な展開は、米国の新国家安全保障戦略や台湾への大型武器売却に対する、中国側の大規模な軍事的デモンストレーションであると見られており、台湾海峡のみならず周辺海域全体に緊張を強いています。

2.非対称戦力による拒否能力の誇示

中国の「数の暴力」に対し、台湾軍は機動力に優れた小型高速ミサイル艇や、地上配備の対艦ミサイル「雄風」シリーズの展開を強化しています。国防部は「我々の目的は敵の侵攻意図を挫くことであり、正面からの数での衝突ではなく、非対称戦力による拒否能力の確立にある」と強調。また、米軍や自衛隊との情報のリアルタイム共有も行われており、多国間での監視網が中国の軍事行動を効果的に抑制しています。国防部は「平和は準備の上に成り立つ」と述べ、国民に対し冷静な対応を呼びかけるとともに、敵の心理戦に乗らないよう警鐘を鳴らしました。海上の静かなる攻防は、台湾の存立を懸けた「平時の有事」の様相を呈しています。

まとめ: 中国による大規模な艦艇展開に対し、国防部は高度な掌握体制を敷いていることを強調しました。数の優位で威圧する中国に対し、台湾は機動的なミサイル網と多国間連携で対抗。物理的な衝突を避けつつ、敵の攻撃を「拒否」する能力を誇示することで、海上の緊張をコントロールし抑止力を維持しています。

出典: 中央通訊社(CNA) 参考サイトのアドレス: https://www.cna.com.tw/news/aipl/202512230050.aspx


記事6:経済部、半導体「エッジAI」技術の国内留保を法制化へ

 次世代の鍵:経済部、最先端AI半導体技術の流出を阻む新法を検討—経済安全保障を法で担保

1.核心技術が国家安全保障の核に

台湾経済部(経済省)は、AIの処理を端末側で行う「エッジAI」用半導体の設計および製造技術について、国家安全保障上の「核心技術」に指定し、海外移転を厳格に制限する新法の策定に着手しました。AI技術は将来の兵器システムやサイバー戦に直結するため、その基盤となる半導体技術の流出は、台湾の防衛能力を根底から揺るがす恐れがあります。経済部は「半導体技術は台湾のシリコンシールド(盾)であるだけでなく、将来のハイブリッド戦を優位に進めるための剣でもある」と位置づけ、技術の「独占的優位」を国内に留めることで、中国に対する戦略的レバレッジを強化する狙いです。

2.「クリーン・サプライチェーン」の法的枠組み

この新法は、技術協力の名を借りた中国資本による買収や、不当な技術引き抜きに対する法的な防壁となります。経済部は、新法を遵守する企業に対し、研究開発費の優遇措置や、米国・日本といった「信頼できるパートナー」との共同開発枠組みへの優先参加権を付与します。これにより、台湾企業は国際的な「クリーン・サプライチェーン」の中で安全に利益を上げつつ、国家の安全保障に貢献できる構造を構築します。経済部長は「技術は一度流出すれば取り戻せない。法による管理は、台湾の将来の生存に対する投資である」と明言。経済と国防が完全に融合した、新たな国家安全保障の形を体現する動きとなっています。

まとめ: 経済部は、最先端AI半導体技術の海外流出を防ぐ新法の策定を推進しています。技術の独占的優位を国内に留めることで「シリコンシールド」を強化し、中国に対する戦略的抑止力を高めます。法による経済安全保障の担保は、技術・経済の両面から台湾の存立を守るための長期的な国家戦略の要となります。

出典: 経済日報(Economic Daily News) 参考サイトのアドレス: https://money.udn.com/money/story/5612/7660000