本日の7本(2025年11月18日 配信) |
① 「台湾、全世帯に緊急市民防衛ガイドを郵送開始 — 初の大規模配布」
台湾政府が版を新たにした市民防衛ハンドブックを、全国約980万世帯に郵送。中国からの圧力を強く意識した備えが背景にあります。
台湾政府は今週、新版の「全民国防ハンドブック(国民安全ガイド)」を全国の約980万世帯に郵送し始めました。これは自然災害だけでなく、中国からの軍事脅威を含んだ多様な非常時リスクに対する市民向けの対処マニュアルです。手引きには、爆弾シェルターの位置確認、非常持ち出し袋の準備、ストレスへの対処方法など、具体的で実践的な指南が含まれています。加えて、降伏や敗北を宣伝する偽情報には「虚偽」と明示され、誤った情報への警戒心を高める内容になっています。国民安全会議副秘書長の林飛帆氏はこの冊子を「我々の防衛意思を示す象徴」と位置付け、政府・国民が一体となった強靭な危機対応力(レジリエンス)の構築を目指していることを強調しました。
出典: Reuters/The Straits Times Reuters+2The Straits Times+2
② 新版ハンドブックで市民備え強化 — 避難所マップやオフライン地図を搭載
リード文: 台湾が発表した新しい防衛手引きには、避難所を確認できるQRコードやオフライン地図が含まれ、市民の備えを日常から支える構成です。
本文(約520字):
台湾の国防部は、2025年9月に改訂された「全民国防ハンドブック」を公開しました。新しい版は平時と緊急時の両方への備えをバランス良く網羅し、「備えがあればより安全」という理念を市民に浸透させる狙いがあります。手引きには消防署や警察署の避難所アプリへの QR コードが掲載されており、オフライン地図機能を使えばインターネット接続がなくても避難所の位置を確認可能です。さらに、英語版・中国語版の PDF が国防部および全民防衛動員署の公式サイトでダウンロードできるようになっています。紙版も限定配布され、今後スーパーマーケットなどでの配布が計画されており、より多くの国民が手に取れる仕組みが整えられています。これにより市民の防災・防衛知識の底上げを進め、日常からの危機管理意識を強化することが目指されています。
出典: フォーカス台湾 フォーカス台湾 - 中央社日本語版
③ 敵兵を見かけたら識別せず退避 — 台湾ガイドが市民の対応を根本転換
最新版防衛手引きでは、敵か味方かを判断せず、まず逃げるという方針に。偽装や心理戦を前提にした新たな市民戦術です。
台湾新版市民防衛手引きは、これまでの「敵/味方を見分ける」方針を変え、敵兵らしき人物を見たら即座に退避を促す内容に転換しました。偽装や潜在的な心理戦を想定し、市民の誤判断による危険を最小限に抑える狙いがあります。さらに、軍事活動を撮影したり投稿したりする行為を控えるよう、具体的な指導が盛り込まれています。市民が軍事的な目撃をきっかけに情報拡散をすることでリスクを高める可能性を考慮した配慮です。この方針変更は、市民を単なる「目撃者」ではなく、防衛戦略の重要な構成要素として位置づける台湾の新たな安全保障観を象徴しています。国防における「全社会防衛(レジリエンス)」の思想が、より明確に市民の行動指針に反映されつつあるのです。
出典: ワイズコンサルティング ys-consulting.com.tw+2cigs.canon+2
④ ハイブリッド戦を想定 — 台湾ガイドにサイバー攻撃・海底ケーブル破壊も記載
台湾の新ハンドブックには、サイバー攻撃や偽情報、海底インフラ破壊などの“日常的な戦争リスク”への備えが含まれています。
台湾が配布を始めた新版防衛ガイドには、伝統的な軍事侵攻だけでなく、サイバー攻撃や情報戦、海底ケーブル破壊、無人機による偵察など、多層的リスクへの備えが詳述されています。政府はこれらを「ハイブリッド戦」の一環と位置づけ、市民に対しても具体的な対応方法を示しています。国安会副秘書長は、「D‑Day(日常外の侵攻)とEveryday(継続的圧力)の両面を想定すべきだ」と発言し、日常からの脅威に強く警戒する姿勢を強調しました。このガイドにより、市民が単なる「戦時の備え」だけでなく、普段からの参加型防衛に組み込まれる形で防衛力を担うという考え方がより明確になっています。台湾の安全保障観が従来の防衛モデルから、継続的・総合的な国家レジリエンスへとシフトしていることがうかがえます。
出典: The Straits Times / Reuters The Straits Times+1
⑤ 中国からのサイバー攻撃が常態化 — 台湾国家安全局が1日平均攻撃回数を公表
台湾国家安全局(NSB)は、中国からのサイバー攻撃が日常化しているとし、平均攻撃件数を公表。重要インフラへのリスクも顕著です。
台湾国家安全局(NSB)は最近、政府機関ネットワークに対する中国起点のサイバー攻撃が常態化しており、平均で1日あたり数百万件に及ぶ試みがあるとの分析を示唆しています。NSBは2024年の報告でも、1日平均240万回の攻撃を記録したとし、2025年にかけてその数はさらに増加傾向にあるとの見方もあります(※報告は非公式・メディア分析ベース)。攻撃対象には通信、交通、防衛サプライチェーンなど国家の中枢インフラが含まれており、NSBはこれらを「継続的な国家戦略リスク」と位置づけています。サイバー攻撃だけでなく、情報操作や偽情報拡散も並行して行われる可能性があり、台湾にとってセキュリティ上の大きな脅威となっています。こうした状況を踏まえ、台湾政府は市民防衛の意識を高める「全民国防」政策をさらに強化しています。
出典: 江南タイムズ Gangnam Times
⑥ 中国製アプリの安全保障リスク — TikTok・WeChatなどに台湾当局が警告
台湾国家安全局はTikTokやWeChatなど、中国製アプリに重大なセキュリティリスクがあると警告。個人情報と生体認証データへのアクセスを問題視しています。
台湾国家安全局(NSB)は2025年7月、TikTok、WeChat、RedNote、Weibo、Baidu Cloudなど中国系アプリ5種を対象に抜き打ちセキュリティ調査を実施しました。調査の結果、これら全アプリにおいて、「個人情報収集」「過剰な権限使用」「システム情報取得」「データ送信」「生体認証データへのアクセス」の5カテゴリで重大な違反が確認されました。具体的には顔認証データ、クリップボードの内容、連絡先、位置情報などが不正に取得される可能性が指摘されています。さらに中国企業には国家情報法があるため、収集されたデータが政府機関に渡るリスクも強く懸念されます。NSBはこのリスクを国民に警告し、利用を控えるよう強く呼びかけています。台湾政府はこうしたサイバー・データ安全についても国家安全保障の重要課題と位置づけています。
出典: マイナビ TECH+ マイナビニュース
⑦ 国防部が改訂ハンドブックを無料配布 — スーパーマーケットでも入手可能に
台湾国防部は新ハンドブックを限定印刷し、PXマートなどスーパーマーケットでも配布。市民が手軽に備えを得られる体制を整えています。
台湾国防部の全民防衛動員署は、改訂版の「全民国防ハンドブック」を無料配布する体制を強化中です。最初は5,000部を印刷し、2025年9月21日からは大手スーパー「PXマート(全聯)」の台北・台中・台南店舗にて、市民一人1冊まで配布される予定です。国防部の英文サイトでもPDF版が公開されており、電子版を通じてより広い層への普及を図っています。国防部はこの方法で、市民が簡単に手に取り「備えがあればより安全」という理念を日常生活に根付かせたい考えです。非常時だけでなく、平時からの防災・防衛意識の向上を目指す「全民防衛」の強化戦略が進んでいます。
出典: 台湾国防部 mnd.gov.tw
